白衣の騎士団

100年戦争を舞台に一人の青年の目を通して描かれた歴史絵巻ですね。
ホームズシリーズで有名なコナン・ドイルの描く歴史物はどんな物か興味があったので読んでみたのですが大正解でした。
魅力的な登場人物達といい、読んでいる人を歴史絵巻に引き込んでいく描写力といい、さすがドイルと言いたいです。
これからしばらくはドイルの歴史物にはまりそうですね。
ただ、私にドイルが描く歴史絵巻をキチンと映像化できるだけの知識がないのが本当に残念です、次読む時はきちんと資料集をそろえて読めば、またいっそう楽しめそうですね。
ちなみに文中にフランス側の登場人物として登場する「デュ・ゲクラン」は「双頭の鷲」の主人公です。
この本も面白いですよ。

白衣の騎士団〈上〉

白衣の騎士団〈上〉

白衣の騎士団〈下〉

白衣の騎士団〈下〉

ウィーンの冬

プラハの春を読んで面白かったので読んでみたのですが、期待していたほどは楽しめませんでした。
前二作にあった様な壮大な歴史のスケールの中で奮闘していた感が薄いような気がしました。
今作では現実にあった某宗教集団の動きを思い起こさせる様な集団が企むテロ事件を防ごうとする主人公と前作から続くロマンスが中心です。
宗教集団のウィーンやヨーロッパでの活動やそれに興味を示す各国の情報機関の動きは面白かったのですが、ロマンスの方は完結編という割にはいまいちでしたね。

ウィーンの冬

ウィーンの冬

イコン

戦争の犬たち 」や「ジャッカルの日」等のベストセラーを生み出したフォーサイスが、共産党体制崩壊直後のロシアを舞台に送る極上のスパイ小説。
共産党体制崩壊直後のロシアに現れた人気政治家。
人当たりがよく、演説も巧みで、大衆に受け入れられ権力の座が間もなく彼の元に転がり込むはずだった。
その彼が政権を握った後に行う極秘プランを記した書類が盗まれる。
盗んだのは文字がかろうじて読めるほどでしかない掃除夫だった。
書類を盗まれた政治家は、書類を取り戻すためにあらゆる手段を使い、そして書類に関する情報を入手したイギリス情報部に激震が走る。
書類には何が書かれていたのか・・・
掃除夫は何故書類を盗んだのか・・・
一時期に比べ落ち着きを取り戻したとはいえ、まだまだ混乱の続くロシアだからこそありそうな話でとても面白く、そして恐怖感のあるストーリーがフォーサイスの持つ重厚な筆致で展開されていきます。
この本の発売当時は、本作が彼の絶筆だとアナウンスされていてとても残念に思っていたのですが、彼はしばらくして戻ってきてくれました。
その時は本当にうれしかった記憶がありますね。
寡作でもいいんでこれからも面白い小説を書き続けてほしいもんです。

イコン〈上〉 (角川文庫)

イコン〈上〉 (角川文庫)

イコン〈下〉 (角川文庫)

イコン〈下〉 (角川文庫)

R.O.E 交戦規則

六機の特殊の作者が今度は自衛隊とテロリストの戦いをテーマにしています。
作品を読むと今自衛隊が抱える様々な問題点が明らかになっていきますよ。
前作の六機の特殊ではとても面白かったのですが、今作は何かいまいちでしたね。
焦点が自衛隊にあるのはわかるのですが、ストーリー展開がいろいろ複雑に絡み合ってわかりにくい感じがしました。
登場人物達がそれぞれに個別の問題を抱え、それが複数から見合って最終的に一つの流れになればいいのでしょうが、その流れが一つにならないまま終わっていしまった感じがします。
敵役のテロリストの描き方も特に目新しさもなく紋切り型で、途中で示された彼らのディテールに関しても最後まで説明されずに終わってしまった事も多く全然感情移入できませんでしたね。
もし、前作を読んでから楽しみにしておられるのでしたらおすすめは出来ませんね。

R.O.E 交戦規則

R.O.E 交戦規則

六機の特殊

世界的なテロリズムの流行に対応するために編成された警視庁警備部第六機動隊、通称六機。
ここに配属されたキャリア官僚である小隊長を主人公に物語が展開していきます。
読み終わって思ったのは「とにかく面白い!」
登場人物達も魅力的ですし、ストーリー展開もテンポがよくリアリティもありとにかく面白かったです。
アクション物が好きな方や拳銃等の武器に関心がある方には必ず楽しんでいただけますのお勧めです。

六機の特殊―警視庁特殊部隊 (徳間文庫)

六機の特殊―警視庁特殊部隊 (徳間文庫)

黒の狙撃者

最近脇役にまわる事が多いリーアム・デブリンが主人公として活躍する小説です。
東西冷戦時代を歴史的な背景として、西側諸国に社会的混乱を引き起こすためにアイルランドに送り込まれた工作員
彼は20年以上に渡ってカトリックプロテスタント両者の和解の動きを妨げるために様々な工作を行ってきた。
しかし、ソ連からのある亡命者の証言から今までその存在すら知られていなかった工作員の存在が暴かれる。
その工作員の正体を暴き、和解の妨害となる工作を防ぐためにチャールズ・ファーガスンはIRAの伝説の闘士デブリンの力を借りる。
しかし、追及の手が迫った事に気づいた工作員は全世界的に社会不安を起こしうるターゲットを選び暗殺作戦をスタートする。
デブリン達は必死に工作員を追うが、相手の裏をかいたはずの作戦が何度も失敗の危機にあい、先手を取ろうとするたびに工作員に先を越される。
何故デブリンの作戦がうまくいかないのか?工作員の正体は?そして、暗殺を阻止できるのか・・・
この本はヒギンズ作品の重要な登場人物で数々の作品に登場しているデブリンが主人公となって活躍する数少ない作品です。
デブリンファンの皆様は是非お読みください。

黒の狙撃者 (ハヤカワ文庫NV)

黒の狙撃者 (ハヤカワ文庫NV)