奥州王

武士の棟梁と言われる「源氏」。
その源氏の基礎をきずいたは頼義、義家親子が登場する前九年・後三年の役
この本はその前九年の役安倍氏側から書いています。
しかし、文章中に作者の感想や意見等が入ってきているのでいまいち小説としては楽しめませんでした。
裏の陰陽師や、当時の安倍氏の風俗や社会状況等が描かれていて面白いのですが、そこだけが残念でした。
最近、蝦夷文化に関していろいろ見直しが始まっているのでそういった面に興味が有る方には楽しめると思います。

奥州王。―日本最強の異人種、安倍一族の戦い。

奥州王。―日本最強の異人種、安倍一族の戦い。

フォックス・ストーン

昨日に引き続いて笹本稜平さんの作品。

有名なジャズピアニストが東京で事故死した。
その事故に不審を覚えたかつての戦友はその真相を調べる為にアメリカに飛ぶ。
調べて行くうちに彼はアフリカに眠る怨念とも言える謀略とそれにまつわる人々の怨念に巻き込まれていく。
その鍵となるのがフォックス・ストーン!
フォックス・ストーンとは何か?そして戦友の死の真相は?

昨日に続いて読んでみたのですが、この作者は面白い作品を書きますね。
今作品は話が二転三転し、本当に最後の最後まで結末が読めずに最後まで楽しめました。
アクション物や冒険小説が好きな方ならきっと楽しめると思いますのでおすすめです。

フォックス・ストーン (文春文庫)

フォックス・ストーン (文春文庫)

太平洋の薔薇

マラッカ海峡を進む貨物船「パシフィックローズ」と船長の柚木静一郎。
船長の柚木は若い頃から世界中の航路を行き来し、「パシフィックローズ」の処女航海を担当したのも柚木だった。
そんな両者は年を重ね共にこれが最後の航海だった。
しかし、彼らの船がテロリストに襲われる。
テロリストが持つのは治療法が存在しない生物兵器100トン。
彼らの目的は!そして柚木と「パシフィックローズの運命は!


前から気にはなっていたのですが、何となく手に取る事がなかった本だったんですが、読んでみて早く読めば良かったと後悔しました。
物語はテロリストに占拠されたパシフィックローズと地中海を進む豪華客船の二つの船を軸に進んでいくのですが、下巻辺りまではこの二つの関係がわからず多少やきもきしますが、クライマックスにかけてこの二つの船の関係がわかってくると、前半で張られた伏線がどんどん生きてきて本当に引き込まれました。
クライマックスにかけては多少筆が荒い所も有りますが、そんな事は関係ないと思える位面白かったです。

太平洋の薔薇 (上) (光文社文庫)

太平洋の薔薇 (上) (光文社文庫)

太平洋の薔薇 (下) (光文社文庫)

太平洋の薔薇 (下) (光文社文庫)

黒い悪魔

時はナポレオン登場直前のフランス植民地のサント・ドミンゴ
コーヒー農園で働く人々の中に人並みはずれた体と褐色の肌を持つ少年がいた。
彼は農園主と黒人奴隷の間に産まれた混血児であった。
この物語はその彼がフランスに渡り、フランス革命とナポレオン登場による時代の大変革の中で社会の差別や偏見をものともせずに生き抜いていく物語です。
主人公のアレクサンドル・デュマ三銃士等でおなじみのアレクサンドル・デュマの父親で、奴隷の身分からフランス軍の師団長まで上り詰めた人物です。


この本の著者は他にもたくさんの面白い歴史物を書いているんですが、この本はその中ではいまいちな感じですかね。
主人公がアレクサンドル・デュマの父親という点やストーリー自体はとても興味を持てます。
でも、途中から主人公に対してうまく感情移入できない部分が有りましたね。
エピローグまで読み進めると何となく納得できる部分も有るのですが、途中で少し私の気持ちが離れがちな感じがしました。


三銃士等でデュマに興味を持たれた方なら、興味深く読めるかもしれませんね。

黒い悪魔

黒い悪魔

戦国の雄と末裔たち

日本史の中でもファンの多い戦国時代、この本はその戦国時代を駆け抜けた武将達の子孫がどのように生き抜いて現代を生きているかについて書いてあります。
登場するのは、「平将門」「足利将軍家」「武田信玄」「織田信長」「今川義元」等の有名武将家を含む12家を紹介しています。


確かにお気に入りの武将の子孫がどんな風に生き残っているかは気になるので、そういった意味では興味をそそられる本でした。
ただこの本は新書と言っても最近流行のライト新書(お手軽に読める新書)なので、通勤通学中や長距離移動中のお供等、軽く読んでみたい方にはおすすめですね。

戦国の雄と末裔たち (平凡社新書)

戦国の雄と末裔たち (平凡社新書)