ヒトラーの防具

統一されたドイツで現地の人々に剣道を教えている駐在邦人。

そんな彼の元に旧東ドイツ地域の大学に昔の剣道の防具らしきもののがあるとの情報が入る。

そこで彼がみたものは・・・。
そんな書き出しで始まる第二次大戦中のドイツを舞台に繰り広げられるストーリー。

ドイツ人と日本人の間に産まれた主人公がその時代の中で何を感じ、どんな行動をしていくのかが淡々と描かれています。
現実と虚構がうまく混ざり合って、もしかしたらノンフィクションを読んでいる気にさせる作者はさすがだなと感心しました。
その分ラストシーンはもうちょっとかな?
第二次大戦中の日独関係が詳しく書かれていて、現実の歴史の勉強がてらに読んでも役に立ちますよ。

ヒトラーの防具(上) (新潮文庫)

ヒトラーの防具(上) (新潮文庫)

閉鎖病棟

普段私たちが目にする事の無い精神病院を入院患者の目を通して書いています。
精神病院内の日常やそこで起こる様々な出来事、現役精神科医の作者が描くヒューマンドラマ。
小説の中で登場人物の心理描写は秀逸です。
1995年山本周五郎賞受賞
わたしはこの賞の受賞作は好みの本が多いですね。

閉鎖病棟 (新潮文庫)

閉鎖病棟 (新潮文庫)

黄昏の岸 曉の天

これから明るい未来が待ち受けているかと思われた国に、一転暗雲が現れる。

シリーズの中でも読ませる本だと思いますね。
いろいろ面白いと思える部分があるんですが、とにかく読んでみないとこの面白さは伝わらないと思います。
しかし、読んでて思ったのがこの作者、引っ張るのがうまい!!

次はどんな風になるのか気になるちょうどいい所で終わってしまったので次が非常に気になる・・・。

黄昏の岸 暁の天 十二国記 (講談社文庫)

黄昏の岸 暁の天 十二国記 (講談社文庫)

楊家将

ハードボイルド作家北方謙三が描く歴史もの。
私はこの作者の現代物も好きだったんですが、歴史物の方が数段面白く感じますね。
今回は中国の歴史上の人物、楊業とその一族の物語。
中国では三国志水滸伝にひけをとらない有名な物語で京劇等では有名な演目らしい。
水滸伝の少し前の時代の物語なので、水滸伝のプロローグとしても楽しめますね。

楊家将〈上〉

楊家将〈上〉