死ぬことと見つけたり

常住坐臥、死と共に生きている葉隠武士。
時は江戸、鍋島藩に幕府の黒い陰謀が降り掛かる。
そんな中、戦国の世をいくさ人として過ごし、太平の世になってもその生き方を変えずにいる主人公。
その主人公が己の威信を守るために莫逆の友達と幕府老中との激闘を繰り広げます。
ただ現世利益を追い求め死ぬ間際になって自分の名前を後世に残すために名誉に走る醜い老人達が散見される今の時代。
そんな世の中を生きる私たちに、全てにおいて判断基準を己に求め、他人の評価や自分の栄達を顧みることなく、本当の意味で己の名を惜しみ、日々を死人として過ごしている主人公達はまさに清冽な風を送ってきます。
ただ、惜しむらくはこの小説は著者の死去により未完で終わっています。
しかし未完とはいえ読む価値は十分にある本なので是非読んでほしいですね。
私の中では「一夢庵風流記 (新潮文庫)」や「影武者徳川家康(上) (新潮文庫)」より面白いと思う一冊です。
こんな生き方に憧れても、本当にこんな風に生きていきるかはともかく、是非若い時に読んでほしいですね。
映画「ラスト サムライ [DVD] 」で注目を集めた葉隠れの精神に生きた武士達の物語です。

死ぬことと見つけたり(上) (新潮文庫)

死ぬことと見つけたり(上) (新潮文庫)